03 / 未経験からの運営
アイドル運営をやってみたい。未経験の僕に、何ができたのか
アイドル運営をやってみたい。でも、自分には何の経験もない。
ライブを見る側なら好きなところをいくつも話せる。それなのに、運営する側として何ができるかと聞かれると、言葉に詰まる。
僕はもともとエンジニアだった。業界の知り合いも運営実績もなかったけれど、グループを立ち上げて、今も運営している。もうすぐ2周年だ。
未経験から始めた人間は、実際にいる。ただ、「未経験でも何とかなる」とだけ書くと、いちばん知りたかった部分が抜けてしまう。何を引き受け、どこは人に相談したのか。その話をしたい。
アイドルが好きなことと、運営の仕事は少し違った
好きという気持ちは、始めたいと思った理由だった。でも、応募者からの連絡に返事をしたり、活動の条件を説明したりする仕事は、それだけでは終わらなかった。
例えば、募集のページに載せる情報を整理する。質問への回答がまだ分からなければ確認する。日程を決めたら、相手と認識が合っているか確かめる。
外から見ていたときより、地味なことが多い。
僕にとって運営の入口は、すごい企画を思いつくことより、こうした仕事を一つずつ担当することだった。
業界の経験がなくても、前の仕事までゼロにはならない
僕にはサイトやフォームを作る経験があった。情報を整理したり、分からないことを小さく分けたりすることにも慣れていた。
もちろん、サイトが作れればグループを運営できるわけではない。それでも「芸能の経験がないから何もできない」と数えるのは、違った。
今なら、自分の経験を肩書きではなく作業で書き出すと思う。
文章を整理できる。予定を調整できる。問い合わせへの返信ができる。画像を作れる。お金の出入りを記録できる。
これは、運営経験があるように見せるための材料ではない。自分が実際に引き受けられる範囲を知るための材料だ。
できないことまで、一人で抱えなくていい
楽曲や振付のように、自分の得意分野とは違う仕事もある。そこで必要になるのは、何をお願いしたいかを伝える準備だった。
誰に頼むかを探す前に、用途や希望、時期、予算について説明できるかを考える。答えが分からない部分は、何を相談したいのかを言葉にする。
僕は最初、「業界の人と知り合わないと」と大きく考えていた。でも、具体的な質問が一つあれば、問い合わせという形にできた。
人脈の広さと、最初の相談を送れるかどうかは、分けて考えてよかった。
未経験を隠すより、約束できることをはっきりさせる
運営実績がないことは、募集を始める時点では変えられなかった。
その代わり、活動の予定や自分の担当、まだ調整中のことは説明できる。「何でもサポートする」と広く約束するより、どこまで対応できるかを具体的にする。
応募する人にとっても、立派な言葉より判断しやすいはずだと思った。
未経験だから質問してはいけないわけではない。ただ、分からないまま約束しないことは、自分の側で気をつけられた。
得意なことが、遠回りになることもあった
エンジニアとしての経験には助けられた。一方で、サイトを整える作業に時間を使いすぎた。
作業している間は安心できる。でも、サイトがきれいになっても、募集の条件が決まるわけでも、問い合わせを一件送れたことになるわけでもなかった。
ここは、未経験だったことより、自分の得意なことに留まっていたことが問題だったと思う。
「自分にもできることがある」と気づいたあと、その力をどの順番で使うか。実際に募集へ進むまでには、もう一段の迷いがあった。